雑学自由帳

日々の学びから趣味まで幅広く。理系院卒の駆け出しエンジニアがちょっとしたクイズ・雑学をメインに執筆します。

【50音雑学 「お」】 「お」から始まるノーベル賞物語

問題

 

Q1. 『万延元年のフットボール』で最年少で谷崎潤一郎賞を受賞したことで知られる、東京大学出身のノーベル文学賞受賞者は誰?

Q2. デザインで用いられる表色系や硝酸の製法にその名を残す、ドイツのノーベル化学賞受賞者は誰?

Q3. イベルメクチンの開発などで知られ、「線虫感染症の新しい治療法の発見」を理由にノーベル生理学・医学賞を受賞した科学者は誰?

 

 

解答

 

A1. 大江健三郎

A2. オストヴァルト(フリードリヒ・ヴィルヘルム・オストヴァルト)

A3. 大村智

 

 

雑学

 

A1. 大江健三郎

 

 『飼育』で芥川龍之介賞(1958)、『個人的な体験』で新潮社文学賞(1964)、『万延元年のフットボール』で谷崎潤一郎賞(1967)、『河馬に嚙まれる』で川端康成文学賞1984)などなど、数えきれないほどの文学賞を受賞している人物。日本人の教養として1作品は読むべきなのではなかろうか、と思います。
 日本人のノーベル賞受賞者にはやはり東京大学関係者が多く、Q3で取り上げた大村智氏、オートファジーの研究で知られる大隅良典氏はじめ11名いらっしゃいます(2021/1/22時点)。

 

A2. オストヴァルト


 オストヴァルト法は硝酸の製法として高校の化学で習いますね。アンモニアと酸素の化学反応に白金を触媒として使うものです。漫画『Dr. Stone』にて、主人公の石神千空が石になった人を復活させるために硝酸を生成する場面で用いられていますね。『Dr. Stone』、科学の面白さを前面に出している非常に良い作品なので是非読んでみてください。
 先述のオストヴァルト法が非常に有名でよく知られていますが、他にも功績は非常に多いです。例えばオストヴァルトの分離法というと、化学反応速度論においてある成分を大過剰にし、みかけの反応次数を減らして解析を容易にする方法として知られています。オストヴァルトの希釈律といえば物質の電離の挙動を表し、更には粘度計にもその名前を残しています。また、問で登場した表色系については心理物理学的考察に基づいたものであり、純色と白と黒の混色ですべての色が表されるとしています。マルチな才能、非常にうらやましいです。

 

A3. 大村智


 大村博士も非常に多くの賞を受賞されており、HPには数々の業績が並んでいます。数ある業績の中でも特に、イベルメクチンは動物薬としても人用抗寄生虫薬としても広く用いられてきたことで知られています。42種の新規微生物の発見、約470種の新規物質の発見、うち26種の天然物及びそれらの誘導体が医薬。動物薬、農薬及び研究用試薬として使われるなど、とんでもない数の仕事を成された方です。
 美術に造詣が深いこと、スキーで数多の大会で好成績を残していることなど様々な側面を持つ大村博士ですが、個人的には、高校教員をしながら大学院に通い、そこから研究者としての道を歩んで大成功したその努力に最大の尊敬の念を抱いています。普通に学生するだけでも大学院大変なのになあ…。

 


今回はノーベル賞受賞者に絞ってみました。特に物理学賞・化学賞に関しては、Youtubeにて、予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」(通称ヨビノリ)さんが物理学賞・化学賞の業績解説・紹介をされているので、人類の叡智を知るきっかけとしておすすめです。文学賞とか経済学賞とかも解説してくれる方いらっしゃるのだろうか…?